ママのための性教育のお話~思春期の脳の成長~
ママのみなさんは、どのような思春期を過ごされましたか?
私は、思春期は嵐みたいだったなぁと思います。ドキドキ、ワクワクすることがいっぱいあって、でも不安や悩みもたくさんあって、気持ちも揺れて…。思春期は心も体も大きく成長します。「脳」も成長します。脳が一生のうちで最もめざましく成長するのは、思春期です。
脳はその領域によって働きに違いがあります。例えば大脳辺縁系という部分は、嬉しい、悲しい、怒りなどの感情や、生命の維持、本能をつかさどる領域です。また前頭前野という部分は、感情的な反応を調整する働きを持つ領域です。理性的に考える、自分をおさえる、先のことを計画する、といった脳の働きに関わっています。
脳は全ての領域が同時に成長するのではなく、成長の時期に時間差があります。例えば大脳辺縁系は早くから発達しますが、前頭前野は思春期の終わりごろに発達します。思春期の子ども達が、感情を抑えられなかったり、気分の揺れが大きかったりするのは、大脳辺縁系の成長に前頭前野の成長が追いついていないことも理由のひとつです。とても楽しい気分だったのに、急にわけもなく気持ちが落ち込んだり悲しくなったり。また友達や家族になんだかすごく腹が立ったり、自分自身にもイライラしたり、そしてそんな自分が嫌になったり、そんなふうに気分は大きく揺れ動きます。
また思春期は、ドーパミンという神経伝達物質が脳内にたくさん分泌されます。ドーパミンの働きが強くなると、物事に対する興味や好奇心が高まり、いろいろなことを試してみたくなります。その一方で、理性的な思考は未熟なため、好奇心のままつい軽はずみな行動をとってしまうこともあったりします。
女優の北川景子さんが何かのインタビューで、「10代の頃の自分に、なんてアドバイスしたいですか?」という質問をされて、「まあ落ち着け、と言ってあげたいです。」と答えていました。共感しました(^^) 思春期の特徴を表しているなぁと思います。
お子さんが思春期になると、感情をぶつけられたり不機嫌だったりして、ママのみなさんは戸惑ったり悲しい気持ちになったりすることがあるかもしれません。どのようにお子さんと向き合ったらよいか悩んでしまうこともあるかもしれません。でも、“おとなへの成長の途中”と客観的に捉えることができると、一喜一憂せずに向き合うことができます。
思春期になったら、子ども扱いを卒業してひとりの人として認め尊重してあげることは、お子さんの自信につながります。一方、理性的な判断は未熟ですから、きちんと叱ったり諭したりすることも大切です。お子さんの成長にあわせて、お子さんと向き合っていけたらいいですね。